血の轍 第一集 一話 感想

携帯メモにツッコミを綴りながら再読していたら文章量が気持ち悪いことになったのでとりあえずここに置いておくことにしました。

ネタバレあり。

ページ数は単行本におけるkindleでのページ数に準じます。紙と多分3ページほどずれています。

二話以降も続くとは限りません。

 

 

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p13 13歳にこしょこしょする母親が端的に気持ち悪い。わたしが朝起きたら母親に顔の産毛を剃られていたあの朝を思い出して吐き気がする。

 

p15 13歳の子ども、一般会社員勤めの夫を考慮すると、静子は若くても35くらい。これだけ顔をかき分けられる著者がこんなに母親をかわいらしく描くのはおかしいのでわざとだと思う。息子から見た母だとすると、母親を女と意識する側にフィルターがかかるのは普通はあまり考えにくいので、そう思わざるを得ない扱いを受けている(母親が恋愛対象に含まれるように教育されている)と想定する

 

p18 1990年代、専業主婦、息子の朝ごはんが水(牛乳?)と肉まんだけ。時代を考えると夫がそれを受け入れているのがやや不自然かもしれない。夫は本気で家庭に興味がないかも。

 

p22 本当に帰るから、ということは前科あり。

 

p23 水着の名札が消える前に書き直されていることに違和感を持つ人が世間にあまりに少なくて驚いている。本人が気づく→親に依頼する、という手順を踏まずに先回りして直してしまう時点で子どもとの自他境界が曖昧になっている親であることがほぼ確定。わたしもそのような親の元で育ったが、親が子供の学校の持ち物を管理している。プールセットと同じように、通学カバンの中や机の引き出しの中も見られている、かつそれを当たり前の権利と思っている可能性が高い。

 

p25 名越先生も言っていたが、これは中学生男子ワールドへの過剰適応の顔。自覚と出力される会話は明らかに乖離。中学生なので、まだ意識してやっている可能性は高い。静一の視点で画が描かれるため、絡みにきた同級生が不細工に描かれているのもわざとかもしれない。

 

p33 吹石は顔と行動の時点で、水商売美人母とのシングル家庭か、女の匂いが強い美人母に捨てられた父親とのシングル家庭であることがほぼ確定。金銭的な困窮のため持ち物がボロボロという描写がないので、父親に引き取られているか。

 

p38 食べて良いか聞けばお菓子を食べて良い家庭であることに逆に違和感。ダメと言われた回数がおおければあの行動にはならないはず。平成初期の良妻の見た目をしている、さらに明らかに過保護な行動をとるタイプの割に、子どもの食への興味が薄すぎる。子どものために過保護になっているわけではなさそうという疑いが出てくる。

 

p39 子どもに選択権があるようにみせかけて、親の思うことを選ぶよう圧をかける場面。我が家でもよく見た光景である。家族でケーキを食べるとして、わたしは子どもだからはじめに選ばせてもらえるが、母親が選ぶ可能性の高いケーキは決して選ばないか、それがわからない場合は母親に優先権を譲るかする必要があった。母親が拗ねてしまうからだ。彼女は姫なので。それと同じである。

 

p42 おもしろいのなんもやってないんねえ、と母親にテレビを消された時に13歳が何も口答えしないのは過剰適応に見える。静子の心情としては①教育上、バラエティやアニメ、ドラマを見てはいけないことにしている②息子もテレビの番組を選択できるということに気づいていない、のどちらかか。我が家は①に近かったが、この家庭では②な気がしてならない。もちろん②の方が悪い

 

p44 後からわかるが、この白猫のエピソード、本来であれば無邪気に掘り返して良いような出来事ではない。少なくとも話題が出た時点で顔を赤らめて子どもが覚えていたことを喜ぶようなエピソードではない。全てひっくるめて演じているか、静子が自分の記憶を自分で封じ込めている可能性が高い。そもそも何もなくても、死んだ白猫の話を食卓の上に載せることに2人とも違和感がなさすぎる。死は無意識的に忌避するものという感覚がない。

 

p47 この流れからの「抱きしめさせて」は正直理解の範囲を超えてしまった。もしかしたら仲直りセックスのようなものかもしれないが、静子には静一への行為に対する全ての罪悪感が無さそうなので、違うか。白猫エピソードを思い出し、「かわいそうな私」を思い出し、それを目の前の男(息子なんだけど…)に慰めてほしいということか?こちらの方が近そう。

 

p49 これは間違いなく試し行為。はじめて読んだ時は猫殺しの犯人も静子かなと思ったが、物語上その必要もないので、違うかもしれない。静一の無難な答えを聞いて、自分の死を基調とする世界の見方をあまり共有できていないことに対する軽い落胆が見える。本当は察してほしいが、そこまでは無理かなー、しょうがないまだ子どもだもんね。という謎の上から目線。