ゼノブレイド 3 所感と感想

メインシナリオ+全ヒーロークエスト(覚醒除く)+メイン6人覚醒クエスト回収したので感想。まだまだクリアしていない人も多い時期かと思うので、こちらに避難して記載します。ネタバレあり。この休みが終わったらこれ以上やる時間があるかはちょっとわからないので、半分も触っていないサブクエと覚醒クエストはやるかわかりません。

 

メイン考察周りはみんながしてるから別にいいかなと思ったのと自分自身が拾えていないストーリーが多分結構多いので自分が思ったことと気付いたことだけ。

 

◎ゲームシステムについて

・ムービー

正直ムービーは長い……。綺麗で丁寧なのはすごいと思ったが、合計アニメ2-3期分の動画を操作できない状態で見続ける必要があるのは結構しんどい。自分が大人だからまだ良いが、ゲーム時間に制限のあるキッズはブチギレじゃ済まないのではと思う。2,30分動画見させられて集中力が切れてきたところに物語世界の重要事項が飛び込んできたりするので、多分わたしも見たけど記憶に残っていない設定いっぱいありそうな気がする。

 

・戦闘

戦闘システムはイージーでプレイしていたので困りどころはなし。ゼノブレのいつも通り、覚えることは多いし、プレイしていない人に突然投げてなんとなく触れるタイプのシステムではないことは様式美。ただランク上げをしないと経験値がもったいないとの思いから、いろんなクラスを触るよう仕向けられているのは前半は良かったけど、ヒーローが増えてくる後半はやや疲れた。これは好ましいと思う人も多いと思う。

 

・ノポンコイン、お金

ノポンコインの上限に気づかず自動売却されていくさまはちょっとしょんぼりした。使い所ないけどさあ。あと拾える装備品が豊富すぎてお金の使い道が全くない。一応これは、世界観的に金銭のやり取りによる流通がメジャーとは言い難い環境なので、という解釈はできなくもないか。2はシリンダー買ってたね、そういえば。

 

◎ストーリーについて

・時間ループの扱い方とNとM

みんな大好きループものの採用方法が非常に上手。5話で「今回のノアはここまでか〜」と思わせてからの流れは素晴らしいと思った。主人公(操作主人公)がひとりだけ記憶引き継いで頑張るパターンじゃないのは良い。Nがひたすらかわいそうかなとは思わなくもないが。Nがノアとしてループしていたときは完全に記憶保持しているわけではないけれども、一人でループを耐える人が「疲れちゃった、もういいや」という設定はいいなと思いました。そりゃそうだ。オカルンとか梨花ちゃんとかが超人なだけなんよあれは。

そしてMはむしろその上で変化しないことに疲れちゃったキャラクターだが、メビウスの感覚を持たないままメビウスになった存在でもある。実際疲れちゃってZのお眼鏡にかなったのはNであり、MはZにNがお願いした結果メビウスになっている。実際世界を動かしたのはよく考えるとこの人ですよね。結局Zの「今が今のまま止まり続けることを強く望む思い」「強者による世界の変革を受け止め切れない弱者」を汲んでメビウスとなるものを選定していた方法は、アイオニオンの継続としては非常に正しかったということ。どちらでもないMという存在をメビウスに受け入れてしまったことから全ての崩壊が始まったと言っても過言ではなさそう。

 

・主人公サイドの気づきの"普通さ"

どんでん返しが少ない。1,2に共通するストーリー展開の楽しみとして、敵や相手の世界や理論の理解によって、主人公とプレイヤーが「同じタイミングで」固定していたはずの敵味方概念のコペルニクス的転回を経験する、というのがあったが、今回はそれがない。

また、プレイヤー視点からすると、今回の主人公たちがメチャクチャ驚く場面というのは、我々にとっての普通の生き方や普通に生きていたら思いつく発想であることが多い。そこから彼らの察しが悪く(テンポが悪く)見えるのも仕方ないが、この部分の物語の処理はまあ、難しかっただろうな……と思う。1や2のキャラクターにとって驚きの出会いの対象はマシーナ、ハイエンターやブレイドイーター、マンイーターであり、その理論は我々の現実世界には存在しないから同じタイミングで驚くことができるが、今回は主にシティーの人たちの産み、生まれ、老いる部分に最も衝撃を受けているので、きちんとキャラクターと感受性を合わせないと結構共感しにくい。とはいえこれは、プレイヤーがそこに「一緒に驚ける」「驚く気持ちがわかる」人間であってほしいという製作側の思いもありそうだなと思った。今作は弱者の論理がしっかりテーマとして書かれているので、特に。

 

・弱者の論理とメビウス

王道JRPGでこんなにいっぱい明らかな弱者や明らかに精神的に弱い人間が出てくるのも割と珍しいかなという気がしていて、好感が持てる。主人公たちにわざわざ「俺たちは運がよかっただけ」と言わせるのは本当に令和のゲームという感じ。すごい。

そして結構メビウスサイドキャラクターの造形や小物っぽさ、退場のあっけなさに辟易していた人は多い印象だが、そこはあまり気にならなかった。あえてZがそういう人間をメビウスに選んでいるだろうからだ。魅力的な悪者とは強固な意志を持ち行為する強者に他ならないので、メビウスに入れる対象にならない。そもそもメビウス構成員自体も割と頻繁に新陳代謝されている可能性が高い(「新しい執政官」という言葉から、10年単位未満での入れ替わりはままあることが想像できる)。メビウス自体は概念でしかないので、彼らもまた個である必要がない。

単純な悪の小物ではないメビウスも一部存在するのは、メビウスの思想(今が今のまま止まり続けることを強く望む思い)自体は悪ではないということを最低限裏付けるためのものであろうと思う。メビウスゼノブレイド世界におけるモナドの対義語の一つといってもよさそうな概念であり、モナドが誰の心にもあるように、メビウスもだれの心にもあるというのも確かにあるし。

改めて思うとシティーの場所やシティーの人間の生き方は一般メビウスには見つからないとしてもZは認識していたことになる。いつでも潰せるバグなので放っておいた、あとはなんだかんだメビウスという立場は飽きてしまうので楽しみに取っておいたという感じかなと思う。ウロボロスに連なるものなので住民全員がアイオニオンの因果からは外れている可能性はあるが、それも予測外の行動をしうるというだけなので、対処自体は難しくないのだろうし。それにシティーの人たちも一定数メビウスになっているような描写もある。戦争世界の中で自分たちだけが幸運にも逃れているという「今」を失いたくない人は結構いると思うので、不思議なことでもないだろう。これは非戦争地帯に生きる我々への皮肉でもあるだろうな。

 

・輪廻転生について

一般アイオニオン人が輪廻から外れるルートは二つあって、①成人の儀を迎える②メビウスになり、死を迎える。②はともかく、システムとしては①が設定してある理由がよくわからない。10年を迎えられるような個体はコロニーや軍を跨いで存在が有名になってしまうので、いくら全員寿命が10年以下でも転生がばれてしまうリスクが高い。輪廻を回し続けるには、個が歴史や地域を跨いで個と認識される可能性を極力避ける必要があるので、そうなってしまった個体を排除するシステムを組み込んでおいたのかもしれない。

とはいえこれは緩やかに輪廻から外れる人間が減ることを示しているので、そのためのシティーという可能性もある。数は少なくともおそらくシャナイアのようにシティーに不適応を起こして輪廻に組み込んでもらおうとする人間は一定数いると思われるので、補充のためには細々と生殖し続けるコミュニティが必要不可欠なのかもしれない。

また先述の通り、②に関してはウロボロスにかなりメビウス構成員を減らされてもそんなに困ったそぶりがなかったこともあり、意外とよくあることなのではとも思う。

 

・二つの世界の融合と再生について

正直かなり混乱した。エンディング後の世界を、これから改めて融合に立ち向かう場面と捉えた人もいるし、融合後の再生がうまく行われた世界と捉えた人もいた。一時的に構成されただけのループ世界であるアイオニオンが残存しているかも不明。とはいえ設定的には後日談をやるのは割と厳しいのではとも思うので、ここの深掘りは追加パッケージでもしないんじゃないかなと思っている。TOAで帰ってきたのがルークだかどっちだか分かんないのと同じじゃないかなこれ。

そもそもラストで一気に概念性が上がった会話についていけなくなり、二つの世界の融合と分離のあたりで、あれなんでこいつらこの先一生会えないんだっけと一瞬混乱してしまったりもした。たしかに今回においては今の安寧を乗り越えたところにある不確実性な未来へのチャレンジというのは極めて重要なテーマなので、神視点であるプレイヤーにもあえて分からなくしてあるのだとは思うが、作中で主人公たちが

 

○世界の時間をすすめる ということは

○アイオニオン時空自体の消滅または現世ゼノ時空からの切り離し であり

○今、行為している自分たちアイオニオン人の時間や寿命が伸びるわけではなく

○ましてやシティーの人たち(=輪廻から外れている人たち)に関しては存在そのものが消える可能性が高い

ことについてはっきり認識している場面あったか????というのはかなり疑問に思った。

 

つまり計画通りにことが運べば、二つの世界の人間は「一生会えない」なんてそんなレベルではなく、そもそも記憶していられないし、なんなら元世界で幼馴染だとわかっているケヴェス勢はともかく、アグヌス勢は同陣営のお互いですら一生会わずに天寿を全うする可能性もある。5億年ボタンの5億年目の最後の日みたいなものだ。

 

そのレベルの選択をするという覚悟、本当に主人公サイドにあったか??ほんとに???

 

同様に、どう考えても一般アイオニオン人、特に一般シティー人の皆さんはそのことについて知らなさそうというのがかなり引っかかる。上層部はともかく、作中の短い時間内で輪廻転生システムやメビウスの存在理由まで全て一般市民に説明できたとは思えない。執政官の正体やもう敵陣営やロストナンバーズと戦う必要がない理由、くらいであれば理解した可能性はあるが。命の火時計を気にせずに生きられる、もう戦う必要がない、場合によっては10年以上生きられるかもしれない、そしてオリジンに乗っているメビウスの親玉はなんか敵っぽい、くらいの認識で最後の日を迎えた人間のほうが多いのではないだろうか。今の自分の存在が世界ごと消滅する可能性について知っていた人はどれだけいるのだろうか。

そして、知っていたら主人公に味方しただろうか。

これはサブクエをこなした数の多い人ほど強く抱く疑問ではないだろうかとも思う。

長い目で見ればアイオニオンの世界の成り立ちも人の生き方も不自然極まりないことはわかるし、世界レベルで見れば未来へ進むのが望ましいことはわかるけれども、そのために「変わらない今」と定義されてしまった世界そのものと心中するつもりまではなかった人の方が多いのではないだろうか?

 

と、ここまで掘り下げてはじめて、メビウスの正当性がはっきりするように思うし、主人公サイドの選択で一旦構築された世界が吹き飛ぶことになるので、結局強者の理論じゃん……せっかくここまでやったんだから未来に進もうぜってめっちゃ空気に流されてんじゃん……と思ってしまうのであった。

 

もちろん実はアイオニオン時空だけが別枠で保存されるという可能性も十分あると思うが、それはそれでいつかは再びメビウスのようなシステムが生まれ、他の世界と接続なく今までと同じように世界が回るというだけなので、特にメリットは無さそう。

世界が交わった影響で因果律が変わり、それぞれの世界で一度アイオニオンで得たつながりをいつか獲得したり、別の形で生命を得たりする(それはアイオニオン時空の彼らそのものでは決して無い)程度のご褒美でマックスかな。さすがにそれくらいはあってほしいなと思ってしまう。

もしかするとずっとアイオニオンに生きる者の価値観としては、死や存在の消滅への恐怖がそこまで認識されにくいという設定はあるかもしれない(ただでさえいつ死ぬかわからない戦場にしか生きる場所がなく、無意識に再び転生することを知っているので、命を失う恐怖を恐怖として受け取る能力がないなど)が、それならそれでもう少しプレイヤーには説明してほしかったかなあというところ。

 

今作いちばんの疑問でした。

 

・ノポンの扱いは?

今作ではノポンはおそらく命の火時計に関与する命として認識されていないことから、1,2よりさらに中立感が増している印象がある。ノポンはゆりかごで作られている描写はなかったが、ノポンが生まれたり死んだり送られる描写もなかったので、彼らの生殖がどういう扱いなのかは不明。ノポンは知的レベルの変わらない生き物であり、行商としてシティーとも交流があり、寿命も10年では無さそうなので、そこから体制や転生を疑問に思うノポンがいてもおかしくない気もするが、その疑問を最低限カバーするための「ノポンの不干渉」設定なのかなあとも思った。なんなら主人公メンバーの中で最年長はおそらくリクだろうし。リクは何者なんでしょうね……。

 

◎キャラクター

・ノア

清楚な見た目でいちばん脳筋だった。あの世界で世界に疑問を持てる上に実行に移せる人は相当賢い。

・ミオ

鋼メンタルヒロイン。かなりメンタルが強い(二回目)。普通あの状況で他人のフォローまでできない。

・ランツ

バカ筋肉担当かと思えばすごい気遣いのできる人。やさしい。

・セナ

こちらも筋肉担当かと思いきや多分いちばん繊細な人。パーティの中では筋肉担当二人がいちばん一般人に近い感覚を持ってそう。

・ユーニ

性悪ヤンキーかと思ったら素直でさっぱりしたいい女だった。地元でメチャクチャモテるタイプ。

・タイオン

かわいい。

 

 

 

ひとまずこんなところでしょうか。

もう少しサブクエやったりしたら意見が変わるところもあるかもしれません。

おつかれさまでした!